友達が死んだ経験

 

大学一年生の夏に高校の時仲よかった男友達が死んだ。なんかかなり特殊な死に方をして、そんなんで死ぬ人いるんだみたいな、本当に20年の歴史の終え方そんなんでよかったのかよみたいな、とにかくかなりアホな原因の事故で死んだ。

その友達はとにかくバカで、文化祭の準備期間にどさくさに紛れて無許可外出して停学くらって文化祭でれなかったり、そもそも大学行くかも決めて無いのに適当に進路希望を出したので高2で私立理系のクラス、高3で国公立文系クラスに入れられたりとか、高校生とは思えないような事をよくやっていて、そういうところが気に入って私を含む4人グループでよく遊んでいた。彼女ができたので一緒に服を選ぶ会とかもした。若い。

私の高校はいわゆる自称進学校みたいなやつで、毎年東大は出ないけど旧帝はちょっと出るみたいな田舎の公立高校だったんだけど、田舎ゆえに排他的で、自称進学校ゆえに不真面目な人は学校で浮いていた。もちろん彼も私とクラスが離れた二年生から浮いてきたし、私も浮いてはないけどかなりの頻度でサボるようになって、そこからはお互い時々遊ぶだけの仲だった。

高校を卒業してから彼は何をしていたかも知らなくて、そもそも大学受験をしたかも不明だったけど彼と私とよく遊んでた人と会うたびにあいつなにやってんだろうなーなんて話していた。

事故はニュースになっていたので、その情報から、SNS上でこの死んだ少年ってあいつじゃないかみたいなツイートがたくさんあったのでとりあえずLINEを送ったら返ってきたのは兄からの葬儀の連絡だった。

自分の高校では勉強しない人の方が珍しく、彼の名前と存在はそこそこ知られていたので同級生の訃報はかなりのスピードで広まった。誰が最初に行ったのかなんて知らない。私はとりあえず産休中の当時の担任に連絡をして、もう誰も発言しなくなった4人グループに事情を説明した。その時はもう3人なのだが。そのグループの人たちの反応は「不謹慎だけどちょっと笑った」というものだった。私もちょっと笑った。それくらいアホな死に方をしたから。「なんかあいつらしいよね、とりあえず葬儀は行ってめちゃくちゃ進めてたパズドラのデータもらうか~」くらいのテンションだった。それが私たちと彼のいままでの関わり方だったし、急に泣き出したりするのはちょっと違う感じがした。

そして葬儀当日。私はたち3人と2年で仲よかった人くらいしか高校の人は来ないだろうと思っていた。私たちは2年以降クラスがバラバラになってしまって、しかも私は学校にあまり行かなくなってしまったので彼は2、3年でのクラスで一人だったから。しかし会場に着くと本当に学年の1/3くらいいるんじゃないのっていう人がいたし、結構な人が泣いていた。私たちは遺影が反省坊主の時の写真だったり、遺物が展示?してあるところに彼のアイフォンがあって、相当な怪我をして死んだはずなのに傷一つ付いていていないソレを見て笑うなどしていた。途中、彼の兄に声をかけられて、3年前に家に遊びに行った時見かけたような人をよく覚えているものだと感心した。

葬儀の帰りいつも行っていたファミレスに行って思い出話とか、近況とかを話した。具体的に何を話したか覚えていないが、かなり楽しかった。

そしてその帰りに、一人になった時、今日見たたくさんの同級生の事を考えた。多分中には一言も話した事がないような人もいると思うし、泣いている人は何に泣いているのか教えて欲しかった。こんなにたくさんの人が泣くならなんで高校の時彼は浮いていたのだろう。どうせ彼が死んでも生きていても今後会うことなんて一生ないのに、この死が与える影響なんてないようなものなのに。すごい偽善的だと思った。でも多分同級生が死んで泣くような感性が正しくて、ケラケラ笑ってる私たちが異常だし、何ならみんなは私たちをおかしいと批判すらするのだろうと思った。それでも何かヘマをした時はバカにして、いつものジョナサンでゲラゲラ笑うのが今までの関係だったし、それは死んでも変わらないと思った。

彼が死んでからもう2年が経つ。私たちはどんどん大人になっていくが彼は19歳の少年のままだ。それでもいつも彼を思い出すとき私たちは高校生の頃の感覚に戻る。多分これからもずっと私と彼は高校の時と変わらない関係が続いていく。そしてそれは彼が生きていても変わらないと思う。私は長生きしたいけど、もし若い時に死んだら急に泣いたりしないで今まで通りの関係でいてほしい。